仮想環境の移行は大変です
仮想化のメリットは従来型サーバを物理マシンから切り離す「カプセル化」と「ファイル化」です
ハイパーバイザー層を物理マシンと仮想マシンの間に挟みカプセル化することで異なる物理マシン上に移動することが可能になり、ファイル化(仮想ハードディスクをファイルとして扱う)することでその移動の容易さを実現しています
これによりvMotion・ライブマイグレーションなど仮想マシン無停止での別サーバへの移動が可能になったり、作成した仮想マシンをOVA・OVFファイルとしてファイル化して持ち運ぶことも可能になっています
今回はハードウェアリプレイスに伴う仮想環境移行方法を VeeamのPlanned Failover機能を使って 実現させる方法の記載です
実際の手順は改めてご案内します
ハードウェアリプレイス時にvMotionはつかってはいけない!?
基本的にハードウェア更改時にvMotionで移行するべきではないと思っています CPU互換性を保つことが必要で新型CPUを購入したメリットがそがれる ことが最大の理由です
せっかくハードウェアリプレイスによって新型サーバを購入したのに古いCPU世代にEVCモードで合わせてというのはナンセンスです
EVCモードは既設仮想化環境に数台増設した場合に、既存仮想化ホストとのvMotion互換性を保つための機能であって EVCモードはハードウェアリプレイス時に用いるべきではない からです
またハードウェアリプレイス時には既存仮想化環境の設計を見直す(リセットする)いい機会です
既存環境からの無停止移行(vMotion)にこだわるあまり、既存設計に引きずられたインフラ設計をしてはせっかくのチャンスがふいになってしまいます
ハードウェアリプレイス時は 設計を見直す いい機会です。過去に引きずられない今後5-6年を見据えた設計をしましょう
以降、 vMotionを使用しない 仮想環境移行方法つまり 少しだけ停止を必要とする移行方法 について記載します
停止時間を最小にしつつ、仮想マシンを移行する方法がVeeam Bakup & Replication
vMotionを使用しないので、すくなくとも仮想マシンの停止が必要になります
そうなると最小時間は 「旧環境で仮想マシンシャットダウン」後すぐに「新環境で仮想マシン起動」ですが、Veeam Backup & Replicationであればそれとほとんど同等の 仮想マシンあたり停止時間数分 で旧環境から新環境への移行が可能です
しかもジョブ実行可能なので、一気に複数の仮想マシンを移行することも可能です
VeeamのPlanned Failover機能(計画されたフェイルオーバー機能)
(Veeam社から引用: Planned Failover - Veeam Backup Guide for vSphere )
Planned Failover実行前に仮想マシンの新環境へのレプリケーションジョブを作成して事前実行しておきます
事前に実行しておくことで、ラスト2回目、ラスト1回目を差分実行でき少ない時間で移行できます
- (旧環境で稼働中)仮想マシン ラスト2回目 のレプリケーションを実施(図の1)
- (旧環境で稼働中)仮想マシンをシャットダウン(図の2)
- (VM停止中) 仮想マシン停止中に ラスト1回 のレプリケーションを実施(図の3)
- (新環境で稼働中)仮想マシンを起動(図の4)
- (新環境で稼働中)仮想マシン以降完了 (次の仮想マシンへ・・)
実際の手順は改めてご案内します
いいところ
vCenterのバージョンに依存しない
Veeamの特徴ですが、レプリケーションジョブ作成時にESXiホストを直接登録できます
この場合vCenterを経由しない形になり、vCenterサーバのバージョンが関係なくなります
vMotionの場合はvCenterサーバのバージョンとESXiホストのバージョンに強く依存しますしね(例えばvCenter6.5にはESXi 5.1と5.5のホストは追加すらできないのでどうやってもvMotionできません
Veeamは基本的にサポートするハイパーバイザー間であればすべてのバージョン間の仮想マシン移行を可能にします
移行後にバックアップソフト、レプリケーションソフトとして使用可能
Veeamは世界的にも有名な商用バックアップソフトです、移行ツールとして別途お金を出すのではなく移行後の新環境のバックアップソフトとして利用可能なので購入コストが無駄になりません
バックアップソフトとしても非常に優秀でかつ、簡単に運用可能なツールなので、少人数運用の仮想化環境にはピッタリです
ツールにお任せできる。失敗時にメーカ問い合わせが可能
Veeamは商用バックアップソフトです。契約次第ですが購入後の保守サポート窓口が提供されています
何らかの原因で失敗した場合、製品のプロに問い合わせが可能です
出力されたログをもとに解析するので、失敗しても他力で解決できる可能性があります
ジョブが失敗した場合の切り戻しが可能
何らかの理由でジョブが失敗することもあります。vMotionのように何もなかったかのように移行元で仮想マシンが動作し続けるほどではないですが、Veeam Planned Failoverの場合失敗しても仮想マシンは旧環境で停止した状態(シャットダウン時点の状態で一貫性が保たれている)なので、旧環境で軌道をすれば元の状態に戻れます
実際の手順はおって更新します
ぜひ使ってみてください
仮想環境ハードウェア更改時には、仮想マシンのハードウェアバージョンの互換性一覧も一応確認しておきましょう
基本的には移行先の新バージョンでも動作します
私の身近にもまだ「ハードウェアバージョン7もあります」
仮想化基盤HW公開に合わせて設計をリセットして一から見直すのもひとつです
私は最近になってやっとすべてのvCenter ServerをWindows版から仮想マシンアプライアンス版に以降完了しました
いずれも仮想化基盤更改時に対応しています。現状、vCSAは快調に動作中です
現在のvSphere 6.7 でWindows版vCenterは終了です。VCSAに移行していきましょう
以上