こしぞーのひとり情シス

Windows/仮想化の小規模環境を運用するリーマンの日々を綴っています。

SIerがなくなる日は来ない

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最近国内のとあるSIerを退職し、外資系企業に入社をいたしました

トータル10年強SIerの中におり、その中で様々な経験をしてきました
最も大きな変化は業界全体に漂うブラック業界(ブラック企業群)のイメージが変わってきたことでしょうか
私がSI業界にジョインしたころにはまさしくホワイトとは程遠いブラックそのものの業界でした

 コンプライアンス違反というのは言いすぎだとは思いますが、法令遵守というのが日本の企業全体で結構曖昧だった記憶があります
出勤時間をごまかして勤務したり、土曜にこっそり出社したり、夜間リモートログインしてメールを書いたりと・・・

と入っても残業代は全部出たし、そもそも低賃金ではなかった(ブラック企業って本来の意味は低収入も含むはずで、高収入・高待遇の会社はブラック企業とは言わないですよね。その意味では電通なんかはどんなにきつかろうと高待遇なんだからブラック企業とは私は思っていません)のもあるので、今でもブラック企業に勤めたとは思っていません

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ただ、業界全体で、顧客の無理な要望を否定しない&短納期による長時間労働と、その長時間労働に起因したストレスから来る(と思われる)ハラスメントは実際にありました
SIerだけではないのはもちろん承知の上なんですが、なにぶんいままでSIerにしかいなかったもので・・・

この10年でSIerは大きく変わった

とても変わったと思います

まず基本的なことですが

  • 法令遵守の意識が強くなった(大企業化も影響)
  • 大企業でないとSI出来なくなり、SIerが大きくなった
  • 無理のない納期・要件により長時間労働が改善された
  • 長時間労働が改善されたことにより、休暇を取りやすくなった
  • 結果、全体的にホワイトになりつつある

まず、大前提ですが業界全体がホワイトになったわけではありません
特に大企業で上記ホワイトになりつつある傾向がありますが、大企業(=上流を担当する企業)がまずホワイトにならないと中小含めた業界全体がホワイトにならない以上、まず大企業がホワイト化されていることが非常に重要です

SI業界に従事する多くの企業が、大企業へ人材派遣されることで成り立っている以上しょうがないんですよね

とはいえ、この10年で大きく変わったことは、私の前職含めて残業の削減・有休消化率の向上はめざましいものがありました

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一方で、 収入を上げるということが難しくなったのが現実としてありますね
もともと長時間労働が基本だったせいか、残業時間で所得を稼ぐ傾向にありました
それがなくなったのですから、国産企業の年功序列型賃金に腹落ちしない20-30台が続出するのも無理はありません

 SIerに求められるものは今も昔も変わっていない

ユーザ側企業とITメーカ(昔ならIBM / Cisco / Oracle / HP。今ならAWS / Azureなど) だけで全てのITサービスを提供できる日が来ることは未来永劫無いとおもわれます

提供される形態は変わりますが、

  • ITシステムを構築する
  • ITシステムを運用する
  • ITシステムを保守する

 この3点全てを利用企業側で賄うことはどんどんできなくなってきていると思います

ユーザ側企業には、「先端技術を習得しているエンジニア」「トレンドを知っているエンジニア」「様々な状況でシステムを構築してきたノウハウ」がどうしても無いんですよね
有期雇用で「先端技術を有していて」「トレンドにも精通していて」「様々状況でステムを構築」してきたエンジニアを2-3年スパンで雇用して、一般社員より高待遇だけど使い捨てるような雇用形態を取ることが不通にならない限り難しいでしょう

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「先端技術を有していて」「トレンドにも精通していて」「様々状況でステムを構築」してきたエンジニアを有する点こそがSIerの優位点であり、主戦場がオンプレミスのデータセンタであろうとクラウドのIaas/PaaS/SaaSであろうと変わりゆく最新技術を提供できるエンジニア集団を排出する能力こそがSIerの価値の真髄です

これができないSIerは将来潰れていくというのが本質ではないでしょうか

今現在どんどん転職市場に流出していっているSIerさんなんかは十分今後も生き残っていけるでしょう

人材輩出会社としてのSIer

最終的に行き着く先はここだと思います

新卒大学生を数百名迎え入れてルーチンワークをこなしつつシステム構築の経験を経て20-30台のうちに業界何処ででも通用する専門性を身に着けつつ徐々に鍛え上げられていく。

専門性を身に着けたエンジニアは、ユーザ企業やメーカ企業やコンサルにステップアップして業界全体でSIを行っていく

その中心にいるのはかつてはSIerに新卒入社した人材ばかりで構成されている
そういう人材輩出会社としてSIerは機能していくんではないかと思います

では、そもそもSIer自体はどうなるんだろうかというと

SIerとはシステムインテグレーター(System Integrator)を指します

 顧客の業務内容の分析、問題の抽出などのコンサルティングから、システムの企画・立案、プログラムの開発、ハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、完成したシステムの保守・管理までを総合的に行います

 ITシステムの全行程を担当できる必要があります、通常とても中小企業に出来る代物ではなく、IT界隈でも大企業にしかできないものです

  • 大量の技術者を有し、足りない要因を外部から集めることができる
  • データセンターを有し、顧客の細かな要望に沿ったハウジングが提供できる
  • IT機器・商材の版権または商圏を有し、市場最適価格で顧客にHW/SWを提供できる
  • 運用・保守ノウハウと人員を有し、10年15年後も運用を継続できる
  • 上記全てをもれなく提供可能である

この全てが1社で提供可能なのは、SIerだけです(大手SIerに限定されますが・・・NTTデータ/NRI/ユニシス/IBM/富士通/NEC/SCSK/CTCくらいでしょうか・・・)
AWS / Azure などのクラウドサービスを利用するだけではSIは出来ず、設計・構築・運用・保守を行うためには前述の通り「先端技術を有していて」「トレンドにも精通していて」「様々状況でステムを構築」できるエンジニアが必要になりますね

各種クラウドサービスを上手に活用しつつ、採用と教育に特化したSIerが将来強くなり生き残って行く、そういう日がもう来ているのではないかと思います

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 かく言う私もSIerからの転職組です
時代の最先端AWSを志していたじきもありました
ナンバーワンからは学べることが多いですからね

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せっかく転職するなら国産企業に限定するのはもったいなく、2台超大国の米国・中国は視野に入れておくべきでしょう
私は米国企業を志望しましたが、今後の成長度を考えると中国企業のほうが魅力的かもしれません 

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実体験を可能な範囲で記載しています
改めて再トライしてみたいなという気持ちは今でもあります。 

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 以上です