Oracle社のクラウドを開設してふと疑問に思うことは「どうやってクラウドに移行すればいいんだろう」という点です、これまでは従来型の
- DataPump Export / Import (expdp / impdp)
Standardエディションでも利用可能 - Data Guard
Enterprise Editionではないと利用できない - GoldenGate
別途有償ライセンス(GoldenGate)が必要
と、お金を持っていればそれなりの方法が得られるよという状況でしたが、Oracleから無償でGoldenGate相当のツールが利用できるようになりました
その名も、Oracle Zero Downtime Migration(ZDM)といいます
Oracle Zero Downtime Migrationとは
8つのステップを踏むことで移行を完了できるツールであると紹介されています
(出典:oracle.com)
- User Downloads and Configures ZDM
Download ZDM and configure it. ZDM runs on Oracle Linux 7 or above, and can be configured in the same server where the source database runs or a separate server.
ZDMをダウンロードし、Oracle Linux7以上の環境で動作させる。(DBサーバと同居でもいいし、別サーバでもOKとのこと
- ZDM Starts Database Migration
Fill in the ZDM template file and start migration via the ZDMCLI command line. ZDM will connect to source and target with the provided SSH keys.
ZDMにはテンプレートファイルと「ZDMCLI」コマンドラインも有する。移行元&移行先両方に対してSSH通信できる必要がある(この辺、クラウド移行時にポイントになりそう、VPN的なものは必須ですね)
- ZDM Connects to Object Store
ZDM proceeds to connect the source database to the Oracle Object Store in the Cloud.
移行時に使用するデータ置き場としてオブジェクトストレージ(Https接続)が必須。GoldenGateのTrailファイルのようなものを格納するための領域で、クラウドに必要。Oracle Cloudのものをそのまま利用すれば良い様子。
- ZDM Transfers Database Files
ZDM transfers all Database files, including a full backup and incremental archives.
ZDMはDBファイルとログ(Archive)を転送するとのこと。Full Backupと記載があるので、RMANフルバックアップ転送後、差分転送&差分適用またはGoldenGate的ログ転送&SQL適用をすすめていくようなイメージ
- ZDM Instantiates a Standby Database
ZDM instantiates a Standby database by leveraging the transferred files from source to the Object Store in the Oracle Cloud.
ZDM動作にはスタンバイデータベースが必要になります(この点Data GuardやGoldenGateなどと同じですね)。オラクルCloud上のObject Storeを経由してデータ転送をしている点からするとGoldenGateに近いです(REDOを生転送するData Guardとは違いますね)
- ZDM Synchronized Primary to Standby
ZDM establishes SQLnet connectivity between source and target and then proceeds to synchronize the primary database on-premises and the standby database on the Oracle Cloud
ZDMはどうやらSQLnet接続をソースリモート間で確立しオンプレプライマリDBからリモートクラウド側DBに動機が開始されるようです。 ZDMサーバがセッションを中継するのではないかと思われますが、それともプライマリースタンバイデータベース間でTCPセッションが確立されるのでしょうか。
- ZDM Switched Over Role Swap
ZDM then performs and controlled switchover and role swaps the databases. Now, the Oracle Database on-premises is a standby database and the Oracle Database on the Oracle Cloud is the primary.
ZDMは役割のスイッチオーバーが可能なようです。スタンバイに役割変更が可能な点はData GuardやGoldenGateと同じです。
- User Finalized at Will
Finally, the user has control to finalize at will. ZDM will maintain SQLnet connectivity between source and target in order to guarantee synchronization between active (Oracle Database on the Oracle Cloud) and standby (Oracle Database on-premises) until instructed to finish by the user.
最後に、プライマリスタンバイ間の切り替えは自由に(好きなタイミング)できるとのこと。
有償なのか、無償なのか
無償です。といってもこのZDMツール自体が無償なんであって、当然Oracle DatabaseやOracle Cloudの有償ライセンスと有償サポートが必要な点は言うまでもありません
時間が経過するとそのノウハウも多数共有されるでしょうし、昨今クラウドベンダーはコミュニティでの情報共有活発化に非常に盛んに取り組んでいます
オラクルも後発クラウドベンダーとはいえ、このコミュニティを活性化させるためにも移行ツールを活用した移行勉強会と題してそのノウハウを無償で受けるセミナーなどが開催されるでしょう。
それともツールとしては存在しているけれど、使用されるのは米国ばかりで日本国内では旧来のSierによるGoldenGateやRMAN、Datapumpによる実績重視のやり方ばかり使われる状況がまたおこるのでしょうか。オラクルを利用するパートナー企業もおなじくレガシーIT臭がしてしまうことがいけませんね。AWSとの大きな違いです。オラクルはクラウド時代の新たなパートナー企業をいっこくもはやく確立するひつようがあるでしょうね。
停止が必要なのか、無停止移行可能なのか
実際に触ってみてから確認する必要がありそうですね。APサーバ(=Oracleクライアント)からは無停止が可能なのかもしれませんが、業務を無停止で実施できるのかは不明ですし、APサーバなども含めて無停止で移行できるのかもわかりません。
詳細わかれば続報します。
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無料利用枠が好況な理由は一つでしょう。そうですOracle Database Enterpriseが無料で利用できるからですね。
以上です