- 高齢者こそが交通事故の犠牲になっている
- 交通事故死者数は減っている
- 日本は歩行者が多く犠牲になっている(交通事故死者に占める割合)
- 高齢者もルールを無視しているわけではない
- 自動ブレーキ技術で解決できないものか
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高齢運転者(特に80才以上)の事故のニュースが連日報道番組、情報番組を賑わせています
池袋の事件は高齢運転者であることに加えて「社会的地位のある人間が関連」「幼い子供と母親」「残された父親」「大ヒット車プリウス」な誰もが飛びつきそうなキーワード満載だった点も注目を浴びている所以だと思いますが
一方で池袋の事件は「87歳の高齢ドライバー」というキーワードなしではこんなに注目を浴びなかったのではないかとも私は思います
それだけ高齢ドライバーは社会的テーマであり、視聴率の欲しい放送局や報道関係者にとってもとっつきやすいテーマが「高齢ドライバー」なんだなということを改めて実感しています
一方で
高齢者こそが交通事故の犠牲になっている
という点については忘れてはいけないと思います
私も「高齢ドライバーによって幼い命が奪われる」事故・事件は無くなって欲しいと心から思っています
しかし、実際には、
- 交通事故死者数は減っているという事実
- 交通事故死者に占める高齢者割合が増加している
という大きな2つの事実を認識すべきなんではないかと私は考えます
(出典:www.npa.go.jp)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/H30sibou_tokucyo.pdf
上記URLの警察庁が取りまとめた平成30年の事故統計データによると交通事故死者数は順調に減っていることが確認でき、一方で65歳以上の高齢者の死者数はそれほど減っていないことも同時に確認できます。
交通事故死者数は減っている
この点は非常に重要だと思います。
そう、減っているんですね。単一の要因ではないと思いますが
- 警察による日頃の努力(これが最も大きい気がする。計測不能だが)
- 飲酒運転厳罰化、飲酒運転をなくす動きの活発化
- 自動車の技術進歩(車体の頑丈さ、エアバッグ等)
- 運転支援機能の技術進歩(自動ブレーキ、車線逸脱防止)
上記のような複合的な要因だと思います
法令(飲酒運転厳罰化など)というハード面、技術(自動ブレーキなど)というソフト面、警察による運用面全てがあわさって交通事故死者数は減っているです
実際に飲酒運転死亡事故は厳罰化によりものすごい勢いで減っている
(出典:www.npa.go.jp)
さらにシートベルト着用率(後部座席)も大きく上がっている
(出典:www.npa.go.jp)
法令も自動車も警察も進化していることがわかると思います
いくら車の性能が良くなってもシートベルト着用率向上なくして死亡事故は減らせないという点からも考えると警察による日々の啓蒙活動が大きな効果を上げていることが見て取れます
では本題の被害にあっている高齢者の方にもう一度眼を向けていると
日本は歩行者が多く犠牲になっている(交通事故死者に占める割合)
この点が他国とは少々異なるようです
「状態別死者数の推移」グラフでもわかりますが、死者数の絶対数は歩行者が最多、2位が自動車乗車中です
交通事故で死者が発生するレベルはほとんど自動車がらみだということを考えてもトップが歩行者であるということは違和感がありますよね
(出典:www.npa.go.jp)
他国と比べてみると日本は交通事故死者数のうち歩行者が35%を締めている点が特異点のようです
比較の対象が、米国・欧州のみのため参考情報としか言いようがありませんが一つの傾向として「日本は歩行者が犠牲になることが多い」ということだけは見えてきます。
(出典:www.npa.go.jp)
当然ながら他国と比べる必要はありません
- 国土の広さ
- 人口密度
- 国民性
- 交通ルール
様々な要因があり、比べて他国の良い点と比較をしていくことに意味はないと考えていますが、減らそうと思えば減らすことは理論的には可能であるという点は理解しておきたいです
だって、米国は歩行者が安全に生活できるとはとても思えないですよね。アメリカなんか大都市でも歩道なんてないですし、歩きにくいし、安全に歩けるような環境ではとてもないです。米国は多分歩行者が少ないだけなんでしょう。
加えて、
高齢者もルールを無視しているわけではない
点です
歩行中死者のうち、交通ルールを違反していないのに無くなっている人の割合は高齢者の方が多いです
重大事故に絞ったデータだと「高齢者はルールを守らないから犠牲になっている」わけでもないようです。
(出典:www.npa.go.jp)
自動ブレーキ技術で解決できないものか
昨今、自動車にオプションで搭載されている運転支援機能に「自動ブレーキ機能」がついています
自動ブレーキ技術発表当初からどんどん技術が進歩して、今では「夜間」「対向車あり」の状況であっても時速50-60km/hくらいまでであれば自動運転機能で防げるようになってきているようです
自動車会社が車体の安全性を高める努力をしてきたことによって交通事故死者数が減ってきたことと同じように運転支援機能の技術向上によって歩行者を守るような技術発展を期待したいです
先に挙げましたが、日本は交通事故死者数に占める歩行者の割合が欧米より高いと結果が出ています
世界と比率の差を比べる必要はないですが、世界の自動車会社はほとんど欧米に集中している点は認識しておきたいです
現在自動運転技術を開発している日欧米諸国の中で、日本の自動車会社が率先して歩行者に優しい運転支援機能を開発してくれないかなという思いは皆さん出てくるんではないでしょうか。
運転支援機能はハードウェアではなくソフトウェア的な開発要素があり、欧州の方が進んでいるような情報を聞いたことがありますが、日本企業も歩行者をより保護してくれる運転支援機能に力を入れてくれると良いですよね。
超高齢化社会の高齢者ドライバーという大きな社会問題を、国産自動車会社に技術面から解決ほしいなという期待を込めて今回の記事を終わりにします。
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