こしぞーのひとり情シス

Windows/仮想化の小規模環境を運用するリーマンの日々を綴っています。

HPEは訴訟で潰れるんじゃないかと思えるほどの今回のSSDファームウェア不具合(Hewlett Packard Enterprise)

HPE SSDドライブ(SAS接続)が3年9ヶ月で全損、データ復旧不能というニュースが大きく取り上げられています

個人的には「HPE訴訟で潰れるんじゃないかな(それかM&Aで他社に買収される)」という気がしてなりません

f:id:bfx62324:20191207120137p:plain

最悪HPEの経営状況が傾く可能性が大いにある

ファームウェアの不具合により「稼働して特定時間を経過したSSDが突然死する」「突然死したSSDは復旧しない。もちろんデータも取り出せない」の2点が発生します
当然サーバなのでRAID(多くはハードウェアRAID)は組んでいるでしょうけれども

  • 同じ時期に購入したRAID内のSSDが複数同時に死亡する可能性が高い

この点から、RAIDによるデータ全損回避はできなさそうだということが用意に想定されます
つまり、記載の通りまたは噂の通り「本当にSSDドライブ城のデータが全損します」がただしいでしょう
また厄介なことにSSDとHDDでストレージ階層化を組んでいる場合は、HDD領域含めてデータは全損するでしょう

MSAもその対象であることから、今回の対象システムは本当に多いでしょう

おそらく米国企業(または米国個人)は既に訴訟準備に入っているでしょう
不具合は発生してから、対応のファームウェア発売までは時間がかかります
そう考えると全世界で既に相当数のSSDが3年9ヶ月以上が経過し完全死亡→データ全損となっているケースが発生していると考えられます

データが消えてもHPEが保障はしてくれない

当然ですが、HPEはディスクを販売しているのみで搭載されるデータが残り続けることを保障はしていません
AWSやAzureなどのクラウドベンダーとは異なるということですね
全損時のデータ保護・データ復旧は購入した顧客責任になり当然ながらHPEの免責事項になっています
とはいえ、今回は逃げ切れない気がします

もしHPEが誤った対応を取り(横柄な対応を取る・会見をしないなど)、世界に敵を多数作ってしまう状況になってしまった場合はいくら免責事項であるとはいえデータ全損の責任を取らされる可能性が非常に出てきます
少なくとも多数の訴訟に対応するだけの費用と工数は求められるでしょう

この対応を間違えると経営状況が非常に傾いて倒産まっしぐらになる可能性があります。。。タカタのような事例になる可能性があるということですね。

f:id:bfx62324:20191207120256p:plain

タカタなどの例もあり、対応を誤ると他社に買収される可能性が非常に大きい

日本国内だとタカタの例があります

www.huffingtonpost.jp

エアバッグ設計・製造で圧倒的世界の一番手に君臨し、世界中の自動車メーカーを顧客に持つタカタでした
自動車設計は5年以上を有すること、設計完了ー>販売期間も10年ほどあることから10-15年以上同一仕様のエアバッグを供給し続けることが求められていましたが、それが可能なのは世界でタカタくらいしかなかった状況でした。非常に参入障壁がたかく、新規参入企業がないため独占的な立ち位置を気づけていたということですね
結果として不具合対応を誤ったことにより、タカタは最終的には経営破綻し今は米国企業傘下となっています
前述の通り新規参入の障壁が非常に高いことからその仕事自体はなくなることはないのですが、株価への影響は非常に大きく、株主としては非常に不満の大きい対応だったということのようです

巻き起こる訴訟の嵐にたいして適切な対応を取れなかった場合にはHPEも経営破綻または他社によるM&Aもありうると考えたほうがいいでしょう

HPEの全部のSSDがこの不具合の対象なのか

HPEの製品ラインナップにある全部が対象ではありません
公式URLには以下のように非常にたくさんあるように見えますが、これはHPEの製品ラインナップが非常に多いだけです

影響のあるハードウェア プラットフォーム: HPE Synergy 480 Gen9 Compute Module, HPE Synergy 660 Gen9 Compute Module, HPE 400GB 12G SAS Mixed Use-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty MO0400JFFCF Solid State Drive, HPE 800GB 12G SAS Mixed Use-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty MO0800JFFCH Solid State Drive, HPE 1.6TB 12G SAS Mixed Use-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty MO1600JFFCK Solid State Drive, HPE 3.2TB 12G SAS Mixed Use-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty MO3200JFFCL Solid State Drive, HPE 480GB 12G SAS Read Intensive-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty VO0480JFDGT Solid State Drive, HPE 960GB 12G SAS Read Intensive-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty VO0960JFDGU Solid State Drive, HPE 3.84TB 12G SAS Read Intensive-3 SFF 2.5-in SC 3yr Wty VO3840JFDHA Solid State Drive, HPE Synergy 620 Gen9 Compute Module, HPE Synergy 680 Gen9 Compute Module, HPE ProLiant XL270d Gen9 Server, HPE D6020 Disk Enclosure, HPE StoreVirtual 3000 Storage, HPE ProLiant SL230s Gen8 Server, HPE ProLiant BL460c Gen8 Server Blade, HPE ProLiant BL465c Gen8 Server Blade, HPE ProLiant DL160 Gen8 Server, HPE ProLiant BL420c Gen8 Server Blade, HPE ProLiant DL320e Gen8 Server, HPE ProLiant WS460c Gen8 Graphics Server Blade, HPE ProLiant BL660c Gen8 Server Blade, HPE ProLiant DL560 Gen8 Server, HPE D6000 Disk Enclosure, HPE StoreEasy 1000 Storage, HPE D2220sb Storage Blade, HPE ProLiant SL210t Gen8 Server, HPE StoreVirtual 4335 Hybrid Storage, HPE ProLiant DL580 Gen8 Server, HPE D3000 Disk Enclosures, HPE ProLiant DL180 Gen9 Server, HPE ProLiant DL360 Gen9 Server, HPE ProLiant BL460c Gen9 Server Blade, HPE ProLiant DL380 Gen9 Server, HPE ProLiant ML350 Gen9 Server, HPE ProLiant XL230a Gen9 Server, HPE ProLiant DL388 Gen9 Server, HPE ProLiant DL120 Gen9 Server, HPE ProLiant WS460c Gen9 Graphics Server Blade, HPE ProLiant DL580 Gen9 Server, HPE ProLiant BL660c Gen9 Server Blade, HPE ProLiant DL560 Gen9 Server, HPE Apollo 4200 Gen9 Server, HPE Apollo 4500 System, HPE ProLiant XL450 Gen9 Server

ざっくりと以下のように考えればOKです

  • 影響あり
    Proliant / Appoloなどサーバ搭載のSSDドライブ全て
    MSAストレージ搭載のSSDドライブ
    Lefthand(StoreVirtual )系ストレージ搭載のSSDドライブ
  • 影響なし
    3PAR / Nimble / XP / Primera / StoreOnce などのミッドレンジ以上のストレージは対象外
    SimpliVity

MSAが対象に入っているのが痛いですね
HPE MSAといえばエントリークラスのストレージでHPEの大ヒット商品です
Proliant 2台+MSAでOracle Database SE RACを構成しているケースは非常に多いでしょうし、今後DB全損しましたという事例も多く発生しそうです。

あくまで企業が保有するサーバが対象でパソコンなどは影響なし

詳細記述していませんでしたが、今回のSSDは「SASインターフェイスを持つSSD」です
PCなどに搭載するSATAインターフェイスを持つSSDとは全く異なり、一個人で購入できるような金額ではありません
1ドライブで50-100万円はするでしょう
あくまで企業(結構大企業)が購入するようなサーバのSSDドライブが対象になっているので。誤解のないように。

関連記事です

HPEといえば100%稼働を保証するストレージを発表していたことで本ブログでも過去触れたことがあります。一方でこんなニュースが出てしまい皮肉が聞いているとも言えます。

www.hitoriit.com

今回SimpliVityはその対象外でした。個人的にはvCenter Serverですべての操作を行えることから好きなHCI製品です。

www.hitoriit.com

以上です