こしぞーのひとり情シス

Windows/仮想化の小規模環境を運用するリーマンの日々を綴っています。

S2Dの可用性(記憶域スペースダイレクトにおけるミラーとパリティの違い)

記憶域スペースダイレクトでシステムを構築する場合、可用性を定義します
可用性とは、S2D(記憶域スペースダイレクト】の場合、回復性とか回復オプションとかフォルトトレランス性とかで表現されています
要は「何本までのディスク障害」「何ノードまでのディスク障害」を許容するか です
どの程度壊れてもデータが消えないかを定義します

通常のサーバやストレージでは、

  • RAID1, RAID10 : ディスク1本までの障害を許容
  • RAID5, 50 : ディスク1本までの障害を許容
  • RAID6, 60 : ディスク2本までの障害を許容

の通りですが、S2D(記憶域スペースダイレクト)ではRAID技術を使用しません
Nutanix 、 VSANのようにSDSとしてソフトウェア的なRAID方式を採用しています

S2D(記憶域スペースダイレクト)のディスク可用性の種類

書き込み性能重視でデータをミラーリングするMirrorと、容量重視でパリティデータを生成するParityとがあり

  • 双方向ミラー : 2点ミラー、同じデータを2か所に分散保持(コピー)
  • 3方向ミラー : 3点ミラー、同じデータを3か所に分散保持(コピー)
  • シングルパリティ : ネットワーク的RAID5
  • デュアルパリティ : ネットワーク的RAID6
  • ミラーとパリティの混合 : 「デュアルパリティ+3方向ミラー」にすれば、書き込み時は性能優先3方向ミラーでしばらく経つと自動的にデュアルパリティにデータ成形して容量重視に動的変更

のとおり主に上記5パターンくらいが実利用可能です

推奨の可用性パターン

本番環境で利用する場合 = 消えては困るデータの場合
は以下のパターンを推奨します

回復性オプション サーバ仮想化 VDI 理由
2方向ミラー × × 可用性低すぎる
3方向ミラー × 可用性と書き込み性能良好
シングルパリティ × × 可用性低すぎ
デュアルパリティ × 可用性と容量が良好
3ミラー+デュアルパリティ 容量重視のサーバ仮想化向け

パリティ生成はS2Dにおいては書き込み性能劣化の原因になっています
書き込み時にパリティを同時生成するため、どうしてもIO処理負荷が高く、パリティ生成必要なく単純な複製(ミラー)で済む2方向・3方向ミラーのほうが性能面では優位性があります
この点から、安定した性能を求めるサーバ仮想化環境にはミラー構成が推奨され、書き込み性能を多く求めないけど容量がほしいVDI環境にはパリティが推奨されます

また、S2Dはソフトウェア的RAIDを採用していて、ハードウェアRAIDは採用していません
2方向ミラーとシングルパリティでは、基本的には「任意ディスク1本障害」または「ノード1台停止」までしか許容できません 一方で3方向ミラーとデュアルパリティは、「任意ディスク2本障害」または「ノード2台停止」または「ノード1台停止&ディスク1本障害同時発生」にも耐えることができます
この 「ノード1台停止&ディスク1本障害同時発生」 にも耐えられるかどうか がポイントになってきます

S2DはWindowsサーバをハイパーバイザーとして採用している以上、ノード単体の無停止運用はなかなか困難です

  • 毎月のWindows Updateなどのパッチ適用
  • アンチウィルスソフトウェアのインストール、エンジンアップデート
  • ハードウェア障害による停止(CPU、メモリ、システムボード障害中 および その交換作業中)

ノード1台が停止した状態は結構な頻度で発生しますが、この時に ディスクが1本でも障害を起こしたらデータ欠損 が発生する状態を避ける必要があり、その避ける方法が 「ノード1台停止&ディスク1本障害同時発生」 にも耐えられる

となっているためです。

開発環境、検証環境、バックアップサイトで利用する場合 = 消えてもOKなデータの場合
はパターンが増えて以下の通りです

回復性オプション サーバ仮想化 VDI 理由
2方向ミラー × 可用性低すぎる
3方向ミラー × 可用性と書き込み性能良好
シングルパリティ × 可用性低すぎ
デュアルパリティ 可用性と容量が良好
3ミラー+デュアルパリティ 容量重視のサーバ仮想化向け

消えてもOKなデータの場合は、ご予算に応じた構成をとってください

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以上